
「廃船買取」と検索されている方の多くは、使わなくなった船の処分に悩みながらも、できるだけコストを抑えて手放したいと考えているのではないでしょうか。本記事では、廃船が買取できる理由とは?という基本的な疑問に答えつつ、船にどのくらいの値が付くのか解説していきます。
また、なぜスクラップ屋でも買取している理由があるのか、処分代はどのくらいかかる?といった費用面の実態、さらに知っておきたい作業料金の仕組みについても詳しくご紹介します。特に重要なのが、無料引き取りと有料処分の違いです。船の状態によっては買取対象となることもあるため、適切な判断が大切です。
この記事を通じて、廃船買取に関する正しい知識を得て、損のない手放し方を見つけましょう。
記事のポイント
- 廃船が買取される理由と再利用価値
- 船の種類や状態による買取価格の目安
- 無料引き取りと有料処分の違いと判断基準
- 処分にかかる費用や作業工程の具体的な内容
廃船買取は早めの対応が重要

- 買取できる理由
- どのくらいの値が付くのか解説
- 買取できない船の特徴について
- スクラップ屋でも買取している理由
- 放置船問題が生むリスクとは
買取できる理由
廃船買取が可能な理由は、たとえ使用できなくなった船であっても、船体に残る資源や部品に再利用価値があるためです。エンジンや非鉄金属、漁労機器などはリサイクルや再販の対象となることが多く、これが買取につながる大きな要因となっています。
船は使用できなくなったとしても、エンジン・スクリュー・計器類などのパーツに需要が残っているケースがあります。また、アルミや鉄など再資源化できる金属素材が多く使われている船は、スクラップとして価値がつくこともあります。
例えば、エンジンが稼働可能な場合、その部分だけを目的に業者が買い取ることもあります。船体が古くても、動力部分が健在なら「中古パーツ」として再販可能なため、買取対象となるのです。
一方で、船が破損していても再利用できる部品や素材が多ければ、処分コストを相殺できる場合もあります。こうした背景から、「完全に価値がない」とは言い切れないのが廃船の特徴です。
いずれにしても、買取の可否は状態や構造によって大きく変わるため、まずは専門業者に見てもらうことが重要です。
どのくらいの値が付くのか解説

廃船買取価格は、種類や状態によって大きく差が出ますが、おおよそ0円〜50万円程度が一般的な相場です。
漁船の場合、比較的古いものが多く、エンジンや部品の劣化が進んでいると、値段がつかないこともあります。ただし、小型でエンジンが稼働するものであれば、10万円〜15万円程度で取引されることもあります。
レジャー船になると、使用用途が広いため、状態が良ければ30万円〜50万円の査定が付く可能性もあります。特に船体がしっかりしていて、船外機や計器が現役で使えるようであれば、高めの価格が期待できます。
アルミボートなどは比較的小型で構造が単純なため、中古市場での需要も安定しています。相場としては数千円〜20万円程度が目安です。アルミ素材にスクラップとしての価値があることも価格に影響します。
もちろん、見た目がきれいでも内部に故障があれば値が付きにくいため、正確な価格を知りたい場合は写真やスペックをもとに査定依頼をするのがよいでしょう。
買取できない船の特徴について

廃船買取ができない船は動かない、または動作に不安がある船は、基本的に買取対象にはなりにくいとされています。
特に、エンジンが完全に壊れていたり、船体が大きく破損している場合は「再利用が難しい」と判断されるため、処分対象とみなされます。内部に水が溜まっていたり、腐食が進行している船も同様です。
また、船の登録情報が不明であったり、所有者の名義変更ができないものは、法律的な手続きに問題があるため、買取を断られることがあります。放置されていた期間が長く、状態の確認ができない場合も、引き取りを避けられる傾向があります。
たとえ見た目が良くても、重要な機器が動かない船は「修理費が高くつく」と判断され、処分費用が発生する可能性もあるため注意が必要です。
スクラップ屋でも買取している理由
廃船買取がスクラップ業者によって行われるのは、解体後に得られる「再資源化素材」が利益につながるためです。
FRP船のようにリサイクルが難しい素材もある一方で、アルミ・鉄などの金属部分には十分な再利用価値があります。スクラップ屋はこれらを細かく分別・破砕し、金属リサイクル業者や製鉄所に販売することで収益を得ています。
例えば、エンジンやバッテリーは非鉄金属として扱われるため、状態にかかわらず価値があります。古い漁船やレジャー船であっても、金属が多く使われていれば、買い取り対象となるのです。
ただし、処分前の分別や搬送にコストがかかることもあるため、状態によっては買取価格が低くなるか、引き取りに費用が発生するケースもあります。
放置船問題が生むリスクとは
放置船は、景観を損ねるだけでなく、災害時の流出や環境汚染など、さまざまなリスクを生み出します。
例えば、台風や洪水で流された船が橋や他の構造物にぶつかると、周囲に大きな損害を与える可能性があります。さらに、放置された船体からオイルや燃料が漏れると、水質汚染の原因にもなります。
現在、日本全国では5万隻以上の船が不法係留状態にあるとされており、問題は深刻化しています。撤去には行政による代執行が必要となる場合もありますが、その費用負担は回収困難なことも多く、結果として税金が使われるケースもあります。
このように、放置船は個人だけの問題にとどまらず、地域社会全体に影響を及ぼします。使用しない船は、早めに売却または適正処分することが望ましいでしょう。

廃船買取の費用と手続きのポイント

- 処分代
- 共通してかかる可能性がある費用
- 作業料金の仕組みを理解しよう
- サルベージの費用
- 引き上げ・解体の流れと注意点
- 無料引き取りと有料処分の違い
- 廃船買取のポイントを知ってスムーズに処分するために
処分代
船を廃棄する際の処分代は、船の種類や大きさ、状態によって大きく異なりますが、一般的には10万円〜40万円程度が目安となります。
例えば、FRP船の場合はリサイクル料金に加えて運搬費や解体費が必要です。全長9m以上のボートなら、リサイクル費用だけで約19万円かかるケースもあります。そこに運搬費5万円〜7万円、下架費用などが加わると、合計で30万円を超えることもあります。
一方、木船や小型ボートのように処理が比較的簡単な船では、処分代が1mあたり2万円前後に抑えられる場合もあります。これにより、全長5mの船であれば約10万円前後で済むこともあります。
ただし、沈没していた船や分解作業が複雑なものは追加料金がかかりやすく、想定より高額になることもあるため、事前の見積もり確認が不可欠です。
漁港に係留されている場合
目安料金:15万円〜40万円程度(船の大きさによる)
【特徴・費用の内訳】
- 船が係留されているだけであれば、引き上げ作業が比較的スムーズ。
- ただし、漁港の構造によってはクレーンや台船が必要になり、費用が高くなることもあります。
- 港湾使用料や作業許可申請が必要な場合、別途数万円の手数料が発生します。
【注意点】
- 他の船に迷惑がかかると判断された場合、急な撤去命令が出される可能性があります。
- 船が沈んでいる場合は、サルベージ費用が上乗せされることが多いです。
砂浜に打ち上げられている場合
目安料金:20万円〜60万円程度(重機の使用有無による)
【特徴・費用の内訳】
- 砂浜では作業車両(クレーンやユンボ)が入りにくいことが多く、重機運搬費や特殊作業費が発生しやすいです。
- 潮の満ち引きや風の影響も受けるため、作業は天候やタイミングに左右されます。
【注意点】
- 打ち上げられた船は波打ち際から陸側へ引き寄せる作業が必要な場合があり、その距離に応じて費用も上がります。
- 地元自治体との協議が必要なこともあります。
陸上(私有地や空き地など)に置かれている場合
目安料金:10万円〜30万円程度(状態により異なる)
【特徴・費用の内訳】
- 船が乾いた地面にあり、重機が入りやすい場所であれば、もっとも撤去が簡単で安価です。
- トラックで直接運搬できる場合、費用は比較的抑えられます。
【注意点】
- 船が長期間放置されていた場合、周辺への汚染や構造の脆化で安全対策費用が追加になる可能性があります。
- バッテリーや燃料が残っている場合は別途処理費が必要です。
共通してかかる可能性がある費用
項目 | 金額目安 |
---|---|
運搬費(トラック) | 3〜7万円 |
クレーン使用料 | 5〜15万円 |
サルベージ作業費 | 10万円〜(水中作業含む) |
処分費用(解体・リサイクル含む) | 10〜30万円 |
登録抹消・証明書発行など | 3,000〜1万円 |
作業料金の仕組みを理解しよう

廃船の処分にかかる作業料金は、回収から解体、最終処分までの工程ごとに細かく設定されています。
まず、最初の回収作業には船の場所、状態、周囲の安全確保などが影響します。陸地からアクセスしにくい場所にある船や、沈没している船を引き揚げる場合は、作業時間や人員が増えるため、その分費用も高くなります。
続いて行われる破砕や分別では、エンジン・スクリュー・電子機器などのパーツを取り外し、鉄や非鉄金属、プラスチックなどに分ける工程が必要です。この作業の難易度により料金が変わり、一般的には数万円〜十数万円が相場となっています。
さらに、廃材を搬出して最終処理場へ運ぶまでの費用や、証明書の発行にかかる料金も含まれます。見積もり時には「何の作業にいくらかかるのか」を確認しておくことで、後からの追加費用に戸惑うことが少なくなります。
サルベージの費用
サルベージとは、沈没した船を海や川底から引き揚げる作業のことを指し、使用するクレーン船や人員、作業時間などによって費用が大きく左右されます。小型の個人船であっても、サルベージ費用が数十万円かかることは珍しくありません。
例えば、岸に近い浅瀬での引き揚げなら比較的簡易な機材で済むため、20万〜30万円程度で完了するケースもあります。しかし、水深が深い場所であったり、複雑な作業を要する状況では100万円を超えることもあります。
また、放置された結果、船体が破損・腐敗している場合には、安全対策や油抜き作業が必要になるため、追加料金が発生しやすくなります。サルベージは早期対応が費用を抑えるカギと言えるでしょう。
引き上げ・解体の流れと注意点
廃船の引き上げから解体までは、大きく4つのステップに分かれます。
最初に行われるのが「現地調査」です。ここでは船の大きさ・状態・周囲の環境などを確認し、作業計画が立てられます。次に、引き上げ作業が始まります。浅瀬にある船はトラックや重機での作業が可能ですが、深い場所にある場合はサルベージ船や潜水作業が必要です。
その後、船は処理施設へ運ばれ、エンジンやバッテリーなどの部品を分別・取り外します。最後に、船体を破砕し、リサイクル可能な素材と処分対象に分類します。
注意点として、燃料が残っている場合は事前に抜き取りが必要であり、これを怠ると危険物としての扱いとなるため、別途処理費用がかかることがあります。また、手続きを怠ると不法投棄と見なされるリスクもあるため、行政や専門業者に相談しながら進めることが望まれます。
無料引き取りと有料処分の違い

廃船処分において「無料引き取り」と「有料処分」は明確な違いがあります。
無料引き取りの場合は、業者が廃船から再利用できるパーツや素材を確保できると判断したときに行われます。例えば、エンジンやアルミ部分が健全な状態で残っていれば、リサイクル資源としての価値があり、引き取り費用を相殺できるためです。
一方、有料処分は、船に再利用可能な部分がほとんどない、または引き上げ・解体に手間がかかると見なされた場合に適用されます。この場合、処分にかかる費用を所有者が負担する必要があります。運搬費や解体費、登録抹消手続きなどもすべて自己負担になるため、費用が数十万円単位になることもあります。
とくにFRP(繊維強化プラスチック)製の船体は、耐久性が高い一方で、寿命が近づくと以下のような兆候が現れるといわれています:
- ゲルコートの剥離や変色
保護層であるゲルコートが劣化すると、内部のFRP素材が露出し、ダメージが進行します。 - 構造的な亀裂や歪み
長年の使用で船体が歪み、ヒビや亀裂が大きくなっていきます。 - 浸水・吸水による膨れ(オズモシス)
FRP内部に水分が入り込み、強度が落ちて膨れ上がる現象が見られることもあります。 - 部品の老朽化
船外機、配線、ハンドルなどの劣化も並行して進みます。
こうした違いを事前に知っておくことで、船の処分を検討する際の判断材料になります。状態が良いうちに相談することで、無料引き取りの可能性も高くなります。
廃船買取のポイントを知ってスムーズに処分するために
- 廃船は使えなくても資源価値があれば買取される
- エンジンや計器類など一部パーツに需要が残ることがある
- アルミや鉄などの金属素材はスクラップとして価値がある
- エンジンが稼働するだけで買取対象になるケースもある
- 船が破損していても再利用素材があれば引き取り可能
- 状態や構造によって買取可否が大きく変わる
- 小型漁船でもエンジン次第で10万以上の値が付くことがある
- レジャー船は状態が良ければ高額査定が期待できる
- アルミボートは構造が単純で中古需要が安定している
- 登録書類や名義不備の船は買取対象外になりやすい
- スクラップ業者は再資源化素材を目的に船を買い取る
- 放置船は景観や環境に悪影響を与えるリスクがある
- 処分費用は10万〜40万円が相場で船の種類により変動する
- サルベージ費用は状況次第で数十万円〜100万円を超える場合もある
- 無料引き取りはパーツや素材の再利用が前提となる